乳がんの方でも安心してできる「乳がんヨガ」。
BCY登録インストラクターがつくった動画やイラストなどを集めました。
やさしいヨガで心と体を癒してあげましょう。
(ヨガは医療に代わるものではありません。
体を動かすのが心配なときは主治医にご相談ください)
今後も追加していきます。どうぞお楽しみに。
乳がんの方でも安心してできる「乳がんヨガ」。
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やさしいヨガで心と体を癒してあげましょう。
(ヨガは医療に代わるものではありません。
体を動かすのが心配なときは主治医にご相談ください)
今後も追加していきます。どうぞお楽しみに。
がんサバイバーの睡眠の質とヨガについての論文(2013年11月のもの)です。
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【タイトル】
がんサバイバーの睡眠の質に関するヨガの多施設無作為化比較試験
【序論】
がんサバイバーは、睡眠の質が治療前から障害され、
30〜90%の人が睡眠障害に悩まされています。
睡眠障害の治療は、薬物療法や認知行動療法がありますが、
十分に問題を解決しません。
この研究は、ヨガの人気は著しいにも関わらず、
限られた科学的根拠しかないために大規模な
多施設協働の臨床試験を行いました。
睡眠障害があるがんサバイバーに対して、
標準的なケアと綿密に計画されたヨガ介入を行いました。
【方法】
410人のがんサバイバーを、
標準的ケア群vsヨガ介入群に半々になるよう、公平に無作為に分けました。
ヨガ介入群は、1週間に2回75分のセッションに参加して、
睡眠の質を測る尺度とアクチグラフを介入前後で身につけ、
活動と生活リズムサイクル、睡眠/覚醒時間を記録しました。
【結果】
全部で410人のがんサバイバーが参加しました。
(そのうち、96%は女性で平均年齢は54歳、75%が乳がんでした。)
ヨガ介入群206人vs標準ケア204人に割り当てられました。
ヨガ介入群の出席は8回中平均6.5回。
ヨガ介入群は、標準ケア群と比べて全体的な睡眠の質を改善し、
日中の眠気や怠さ、主観的な睡眠の質を大幅に改善しました。
さらに、睡眠薬の使用を週に21%に減らしました。
標準ケア群は、全体的な睡眠の質や主観的な睡眠の質などの
有意な改善も示しましたが、睡眠中・睡眠時間は改善せず
睡眠薬の使用は5%増えました。
1人の対象者が、研究期間中に重度の有害事象を有しました。
他の重大な有害事象はありませんでした。
【ディスカッション】
このヨガのプログラムは、睡眠障害のあるがんサバイバーにとって、
有用な治療法です。
【引用】
JOURNAL OF CLINICAL ONCOLOGY volume 31.number26.september10.2013
https://ascopubs.org/doi/full/10.1200/JCO.2012.43.7707?url_ver=Z39.88-2003&rfr_id=ori:rid:crossref.org&rfr_dat=cr_pub%3dpubmed
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早いもので、まもなく新しい年がやってまいります。
皆様にとって2019年はどのような一年でしたでしょうか。
乳がんとヨガの可能性を信じてくださり、
そして必要な人に届けていく流れが今年もBCYのメンバーを始め、
多くの方々の努力でさらに豊かになりました。
ここにあらためて感謝を申し上げます。
来年度に向けて、乳がんとヨガにかかわる皆様と一緒に考えたいテーマがあります。
それは「ヨガの強みってなんだろう」ということです。
乳がんの方を支援する方法は増えてきています。
それに従事する人材も増えてきています。
でも、なぜ私たちは「ヨガ推し」なのでしょうか。
私自身、2019は臨床研究の領域で多くの指導をいただいた一年でした。
その中で突きつけられるのは、やはりヨガとは何か、
なぜヨガなのか、ということです。
ぜひ、皆様にもこれに対する答えを
一人一人持っていて欲しいと思っています。
帰りの新幹線で答えが出ずにあらためて
「なぜヨガなんだろう」と自問自答しました。
私なりに出した答えは次のようなものです。
ヨガは事実としてインドで生まれ、
その文化的背景にはマサラ(様々なスパイスの調合)があります。
インドに行っていつも思うのは、マサラの強みです。
カレーが体に良い、という臨床研究はありません。
でも、それぞれのスパイスにどんな薬効があるかは、
伝承医学のみならず解明されてきています。
それと同じように、ヨガの前屈が良いのか、呼吸法が良いのか、
内観がよいのか。全て良いのです。
だけど、どれもやりすぎは害になるかもしれません。
私たちは美味しいからと言って、カレーに唐辛子だけ入れません。
絶妙な調合が私たちを元気にする、
だけどその調合は、インドカレーとタイカレーで違い、
どちらが良いというものではありません。
また、上野のとあるレストランの調合がベストで、
他がダメ、というものでもありません。
それぞれの店が、家庭が、人を元気にする
それぞれのカレーを出せたら、喜んでくれるのではないか。
その時に、弱っている人に刺激的すぎる味は出しませんが、
元気が欲しい方には少しのカンフル剤があった方が良いかもしれません。
そんな調合ができるのが、ヨガ。
運動で気分が上がる、ストレッチでめぐりが良くなる、
休息で回復する、呼吸法で自律神経を整える、
などヨガは色々な可能性を秘めており、その調合です。
その一つ一つを安全に組み合わせる方法、
それは知識だけでできるものではありません。
BCYで学ぶみなさんは、乳がんの患者さんが
どうやったらその人らしさを取り戻していけるかを学んでいます。
そして、相手を見ながら心を込めて、
美味しいカレーを作れる方々なのではないでしょうか。
臨床研究では、一つのカレー推ししかできません。
でも先人たちの努力で、ヨガはがんのリハビリテーションガイドラインにおいて、
その良さを認めてもらっています。
そうであれば、私たちは自信を持って、
BCYの提供する乳がんヨガなら、信頼できる、効果がある、と
言っていただけるように ヨガを届け続けていくことが
社会における役割なのではないか、と思っています。
インドで生まれたヨガが、日本人を元気にしています。
そのことに感謝し、私たちは日本の方々に向けて志をもって
活動してまいりましょう。
2020年もひとりひとりが自分らしく活動できるBCYでありたいと思います。
BCYにかかわってくださる全てのステイクホルダーの方々に感謝申し上げます。
校長 岡部 朋子