乳がんヨガ指導者養成&患者さまへのヨガ環境整備

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乳がんヨガ最新情報

2019年10月13日快晴…

このコラムを依頼されたのは甚大な被害をもたらした
台風19号が過ぎた翌朝でした…

わたしが住む水戸市では那珂川が溢れ、多くの家屋が水没しています。
こんな時に私に何が書けるかしらと不安でざわつく心を鎮めるように
目を閉じ深呼吸をしてみました。

思い出されたのはヨガティーチャー養成講座の授業でよく使わせていただいている
ハーバード大学のロバートウォールディンガー博士の研究です。

“人生を幸せにする方法”
1938年に始まったこの研究では、当時ハーバード大学2年生の男子学生と
ボストンの極貧環境で育った少年たちを追跡調査しています。
調査開始時は724人いた被験者のうち、現在でも約60人が健在で調査に参加しています。
そのほとんどが90歳代です。開始時に聞き取り調査と健康診断を行い、
その後、1年おきに本人への質問票調査、本人や家族への聞き取り調査、
医療記録の確認、血液検査等を行ってきました。

4代目の研究責任者のロバートウォールディンガー博士によると、
人を幸福にし健康にするのはお金でも 地位でも名声でもなく
何よりも良い人間関係が重要であり、
その人間関係について大きな教訓が3つあることが明らかになりました。

それは、
(1)家族、友人、コミュニテイ等、周りとのつながりを持っている人は
そうでない人よりも幸せで健康で長生きする
(2)身近な人たちとの関係の質が重要である
(3)良い関係は脳も守る
というものです。

(3)は、いざという時に本当に頼れると感じている人と
80代までしっかりした関係を持ち続けている人は記憶がずっと明瞭で、
逆に、パートナーは全く頼れないと感じている人に
記憶障害が早期に出現したことから、結論付けられました。

私もこれまでに 約10年、たくさんの病気のかたと
ヨガセラピーを通して関わらせていただいていますが、
今までに お会いしたかたのなかにはステージ4の癌でも
とてもキラキラ幸せに毎日を過ごされているかたに出会ったことがあります。
そのかたは家族の大切さを再認識し、家族との時間をつくり
新しいコミュニティに 加わり、楽しもうとしていました。

逆にお身体はお元気でも、毎日悲観的にダークサイドしか
見えていない日々を送られているかたを知っています。
そのかたは前述の方とは 真逆で、過去の人間関係に憎悪を持ち
友人とは疎遠になり、家族とも疎遠になっています。

幸せを感じて生きることは、長さはどうであれ
そのかたにとっての人生の質を向上させることにも繋がります。
そして、それはどんな病のかたにも副作用のない良い薬となると感じています。

ロバートウォールディンガー博士は 講演でこのように言っています。
「テレビや PCの前にいる時間を人と過ごす時間に充ててください。
新鮮さを失った関係を活気づける為
何か新しい事をパートナーと始めたり、散歩したりデートしたり…
また、何年も話していない家族に 連絡を取るのも1つの方法です。」

折しも前例のないほどの酷い台風被害を受け
心がざわつき不安が広がる日本。
今こそ健康なかたも病気のかたも、大切な家族に感謝し
声をかけ、ハグできるならハグをしましょう。
隣人に優しさをむけ、手を差し伸べましょう。

どんな状況下でも、こんな近くに幸福になる方法はあるのです。

BCY講師
MYLヨガセラピー&スクール代表
横山 みつこ


<参考・引用元>
TEDトーク
「人生に幸福にするのは何?最も長期に渡る幸福の研究から」
https://www.ted.com/talks/robert_waldinger_what_makes_a_good_life_lessons_from_the_longest_study_on_happiness/up-next?language=ja

参考・一部引用先
Digital Cast
http://digitalcast.jp/v/23938/

幸せ経済社会研究所
https://www.ishes.org/happy_news/2016/hpy_id001984.html

2019年10月16日 | 関連情報

私は2012年に当時のLuna Works岡部朋子先生(初代BCY校長)の元で、
乳がんに罹患した姉の為に乳がんヨガを学びました。
そしてすぐに当時運営をしていたヨガスタジオで乳がん体験者向けのヨガクラスを始めました。

そんな中、2014年に私自身が乳がんに罹患。幸いにもクラスは続けられる状態でしたが、
当時の生徒さん達から励まされ、インストラクターという立場でしたが
逆に皆さんから沢山の元気をもらいました。
この時は部分切除だった為、動きにそれほど制限はなく乳がんヨガはリハビリとして
とても役に立つものだ、と実体験をもしました。
ヨガをしていたお陰か術後の経過も良く、
胸や腕周りの筋肉の回復も早かったような記憶があります。

そして2018年、2度目の乳がんの告知を受けました。
今回は両胸にがんが見つかり、姉も乳がんで遺伝性の疑いもあった為、
医師からは両胸の全摘と可能ならば同時再建を勧められました。

1度目の乳がんの告知の時はしっかりとしていましたが、
さすがに今回は頭が真っ白になり涙しか出ませんでした。
両胸を失うという喪失感、家族への想い、
これから待ち受けているだろう様々な試練・・・
ヨガをしていても人間ですから、そうした思考が頭の中を一気に占領し
暗い気持ちの日々が続きました。

実はその頃、私はBCYで指導者養成講座を担当させて頂いておりました。
まだ自分の状態をはっきりと言えない複雑な気持ちで養成講座の日を迎えました。
お集まりいただいた方はご自身が乳がんの体験者、ご家族が乳がんに罹られた方、
そして私と同じく乳がん体験者でヨガインストラクターの方もいらっしゃいました。
皆さん様々な思いで受講をして下さいましたが「乳がん体験者の為に何かしたい」
というお気持ちは皆同じでした。

そういったお気持ちを伺い、熱心に受講してくださる皆さんを拝見しながら私もまた
元気になって誰かのお役に立てる日がまた来ますように、と心の中で願いました。
ですが、両胸同時再建は前回の部分切除の時よりも体の制限と負担が多く、
ヨガを出来る日が戻ってくるまでには時間がかかりました。

エキスパンダー挿入後は最初の1ヶ月間は腕を高く上げないように、
うつ伏せや横向きで寝ること、胸に圧がかかることもしないように言われ、
動きたくても今までのように動けない憤りと、それに合わせて気持ちも
落ち込むばかりの状態が続き「もうヨガなんてしたくない」と
自暴自棄になる時もありました。

しかし、体に制限があると言っても全く動かさずにいることは勧められていません。
医師からは「自分の体は自分が一番分かるでしょうから、
無理のない範囲で身体の状態に合わせて動いてみてください。」とアドバイスされ、
その時に改めて乳がんヨガで学んできた「人がヨガに合わすのではなく、ヨガが人に合わす」
という言葉を思い出しました。

乳がんヨガは「その人に合ったヨガ」を教えるものでした。
それを思い出すまで、出来なくなったことばかりにフォーカスをし
「あれもできない、これも出来ない」と思い込んでいましたが、
もう一度乳がんヨガの教えを思い出し、自分の出来るヨガから少しずつ始めていくことにしました。
そうして、少しずつ心と体が回復してきました。

同時再建中のヨガは気を付けなければならないことも多いですが
(胸に圧をかけるような負担をかけない、うつ伏せ、横向きにならない等)
乳がんヨガは優しく体を動かすので安心です。
また、再建中は体を無意識にかばっていたりするので、
どうしても体が歪みやすくなります。
そんな時はやはり体の左右のバランスを整えてくれるヨガは
再建中にはとても適しているのではないかと感じました。

現在もまだエキスパンダーがまだ入っている状態ですが、
再建をされた方やこれからお考えの方はご存知かと思いますが
今年(2019年)7月にアラガン・ジャパン社のエキスパンダーと
インプラント回収についてのニュースがありました。
日本では保険が適用されるエキスパンダーやシリコンはアラガン社のものですので、
私のインプラントの手術は代替品が承認されるまで延期となりました。
正直、ニュースを知った時は心穏やかではありませんでしたし、
早く入れ替えたい!という気持ちでいっぱいでしたが、
これも「受け入れる」こととしてヨガの学びと捉えることにしました。
インプラントが出来るのはいつになるか分かりませんが、
これからもヨガで心と体のバランスを整えながら準備をしておこうと考えています。

乳がんヨガでは「受け入れることは否定しないこと」を学びます。
どんな状態でも受け入れてくれる場所がある、
それは再度患者の立場になった時に本当に必要なことだと痛感しました。

現在、全国に乳がんヨガを学んだ優秀な指導者が多く在籍しております。
必要とされる方のお近くにもクラスがあることを願っています。
詳しくはHP内の全国乳がんヨガ指導者名簿をご覧ください。

文責:BCY Institute Japan
川口 貴枝
乳がんヨガクラス Wellness

10月から【乳がんヨガ ウェルネス】始まります

2019年09月27日 | 体験者の声

2019年6月、私はアメリカ、ロサンゼルス国際空港に降り立ちました。

目的は二つ。毎年開催されている国際ヨガセラピスト協会のカンファレンスに参加するため。もう一つは、ロサンゼルスのあるクリニックで行われているヨガセラピーを視察するためでした。今回はそのクリニックで行われているヨガセラピーについてご報告します。

クリニック外観
<クリニックの外観>

ロサンゼルスのサンタモニカにあるベニス・ファミリー・クリニックは、寄付で支えられている様々な診療科があります。診察・診断・投薬に加えて、食事や運動習慣の改善もサポートするクリニックです。

料理教室や毎日のようにあるヨガやエクササイズのプログラムに無料で参加することが可能です。


<クリニック内の案内板>


<運動プログラムの予定表>


<お料理教室の予定>

さらに、医療を補完するものとしてヨガセラピー、鍼、カイロプラティックが処方され、患者さんは無料で受けることができます。医師と、ヨガセラピスト、鍼灸師、カイロプラクターは、患者さんごとに会議を行っています。医師による状況説明、補完医療の要不要、何が必要なのか、目的、方法などについて、それぞれの専門家が意見を出し合います。最終的に医師が必要と判断した患者さんに対し、処方箋がだされ、それぞれの専門家によるセラピーが行われ、経過観察、最終評価まで行います。


<医療者と専門家が会議をする部屋>

今回、ヨガセラピーを受けた女性にインタビューすることができました。彼女は乳がん患者ではありませんが、ヨガセラピーを受けた感想を語ってくれましたのでご紹介させていただきます。(ご了承をいただきました)

20代の彼女は、数年前に交通事故を起こし、その際心的外傷を負い、現在心療内科を受診しています。主治医から、治療に加えてヨガセラピーを受けるように指示があり、その日が初めてのヨガセラピーでした。

彼女によれば、事故以来、車を運転する時には常に事故を恐れてびくびくし、周囲に意識を張り巡らせていて、不安で疲れてしまうそうです。後遺症で首の痛さも抱え、心の落ち着かない日々だそうです。

一度、一般のヨガクラスに参加したことがありましたが、周りの人が気になって集中できず、また他の人と自分を比べてしまい嫌な気分になってしまったそうです。それ以来、そのクラスには参加していないとのことです。

ヨガセラピーは、患者さんとヨガセラピストの1対1で行われます。場所は、落ち着いた個室で、他の人の目を気にする必要がありません。呼吸法、マントラ、ポーズ、リストラティブヨガ、瞑想などを1時間かけて行ったということです。(セラピーは、その性質上見学はしませんでした)

ヨガセラピーが行われる部屋
<ヨガセラピーが行われる部屋>

初めてヨガセラピーを受けてみて、彼女はこう言っていました。

「自分の内側に意識が穏やかに向いて、とても平和で落ち着いた気持ちになりました。穏やかなヨガのポーズや呼吸法は、意識を集中するのに役立ちました。今この瞬間をじっくりと味わい、安全であるということを感じることができました。首の痛みの感覚も、ヨガセラピーの最中は少し和らいだ気がします。ヨガセラピーをうけると、こういう気持ちになれることがわかって、とてもよかったです」

彼女は、これからも、心療内科での治療を続けながら、ヨガセラピーも受けることになっていると言っていました。ヨガセラピーによって、穏やかな気持ちや今この瞬間を味わう経験をしたことは、彼女にとって、今後の治療を続けていくうえで、強力なサポートになると私は強く感じました。

乳がんヨガでも、ヨガを通じて患者さんが自分の心の中に安心感を味わったり、落ち着きを感じたりすることが、患者さんのサポートになるでしょう。自信を味わったり、自己肯定感を養ったりすることもあるでしょう。そのような気持ちが、乳がんの治療を続けていくうえで、大きな力になると考えています。

クリニックでの患者さんとヨガセラピスト達との出会いは、これからも真摯に、乳がんヨガをお伝えしていく勇気をもらったものとなりました。
このような機会を作ってくださった方々に感謝しています。

文責:BCY運営メンバー 秦絵理子

2019年09月10日 | 活動報告,臨床情報など
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