早いもので、まもなく新しい年がやってまいります。
皆様にとって2019年はどのような一年でしたでしょうか。
乳がんとヨガの可能性を信じてくださり、
そして必要な人に届けていく流れが今年もBCYのメンバーを始め、
多くの方々の努力でさらに豊かになりました。
ここにあらためて感謝を申し上げます。
来年度に向けて、乳がんとヨガにかかわる皆様と一緒に考えたいテーマがあります。
それは「ヨガの強みってなんだろう」ということです。
乳がんの方を支援する方法は増えてきています。
それに従事する人材も増えてきています。
でも、なぜ私たちは「ヨガ推し」なのでしょうか。
私自身、2019は臨床研究の領域で多くの指導をいただいた一年でした。
その中で突きつけられるのは、やはりヨガとは何か、
なぜヨガなのか、ということです。
ぜひ、皆様にもこれに対する答えを
一人一人持っていて欲しいと思っています。
帰りの新幹線で答えが出ずにあらためて
「なぜヨガなんだろう」と自問自答しました。
私なりに出した答えは次のようなものです。
ヨガは事実としてインドで生まれ、
その文化的背景にはマサラ(様々なスパイスの調合)があります。
インドに行っていつも思うのは、マサラの強みです。
カレーが体に良い、という臨床研究はありません。
でも、それぞれのスパイスにどんな薬効があるかは、
伝承医学のみならず解明されてきています。
それと同じように、ヨガの前屈が良いのか、呼吸法が良いのか、
内観がよいのか。全て良いのです。
だけど、どれもやりすぎは害になるかもしれません。
私たちは美味しいからと言って、カレーに唐辛子だけ入れません。
絶妙な調合が私たちを元気にする、
だけどその調合は、インドカレーとタイカレーで違い、
どちらが良いというものではありません。
また、上野のとあるレストランの調合がベストで、
他がダメ、というものでもありません。
それぞれの店が、家庭が、人を元気にする
それぞれのカレーを出せたら、喜んでくれるのではないか。
その時に、弱っている人に刺激的すぎる味は出しませんが、
元気が欲しい方には少しのカンフル剤があった方が良いかもしれません。
そんな調合ができるのが、ヨガ。
運動で気分が上がる、ストレッチでめぐりが良くなる、
休息で回復する、呼吸法で自律神経を整える、
などヨガは色々な可能性を秘めており、その調合です。
その一つ一つを安全に組み合わせる方法、
それは知識だけでできるものではありません。
BCYで学ぶみなさんは、乳がんの患者さんが
どうやったらその人らしさを取り戻していけるかを学んでいます。
そして、相手を見ながら心を込めて、
美味しいカレーを作れる方々なのではないでしょうか。
臨床研究では、一つのカレー推ししかできません。
でも先人たちの努力で、ヨガはがんのリハビリテーションガイドラインにおいて、
その良さを認めてもらっています。
そうであれば、私たちは自信を持って、
BCYの提供する乳がんヨガなら、信頼できる、効果がある、と
言っていただけるように ヨガを届け続けていくことが
社会における役割なのではないか、と思っています。
インドで生まれたヨガが、日本人を元気にしています。
そのことに感謝し、私たちは日本の方々に向けて志をもって
活動してまいりましょう。
2020年もひとりひとりが自分らしく活動できるBCYでありたいと思います。
BCYにかかわってくださる全てのステイクホルダーの方々に感謝申し上げます。
校長 岡部 朋子