乳がんヨガ指導者養成&患者さまへのヨガ環境整備

乳がんヨガ最新情報

講演タイトル:呼吸の波に揺れながら〜ヨガで急がず休まず

こんにちは、ご紹介に預かりました、岡部朋子と申します。

アメリカの国立医学図書館が編纂するPub Med(パブメド) と言われる医学論文データベースで、ヨガ、を検索すると、3322もの論文がヒットします。ヨガとがん、と入れて検索すると、284、ヨガと乳がん、と入れると130もの論文が正式に提出されていることがわかります。

実際この中の全てが信頼に値する研究ということはできないかもしれません。それでも、アメリカでは20年ほど前から、国の予算をかけ、東洋医学やヨガの臨床研究に取り組んできました。実はここ数年で、国の研究体制に大きな流れの変化があったことをお話しさせていただければと思います。

実は、予防や治療の臨床試験のほとんどが、期待を上回るものではありませんでした。もちろん国民からは税金の無駄遣いだ、という声が上がりました。それを受け、2010年頃より、研究の対象が「補完代替医療」という呼び方ではなく、補完的健康アプローチに、そして予防、治療から、症状のマネジメントに様々なセラピーを活用していこうという動きに整理され、その有効性が徐々に明らかになっている段階です。
そして、現在非常に人気が高まっているのは最新鋭の医療技術と伝統的な心身ケアのいいとこ取りをした統合的治療マネジメントです。

本日は、そのような伝統的ケアのひとつとして患者さんたちの間で活用が始まっている「ヨガ」で体を動かす気持ち良さ、そして心や体の変化について、お話しさせていただければと思っております。難しいポーズは一切しませんので、どうか安心して取り組んでみていただければと思います。

実際に体を動かしていただくとわかることなのですが、難しいポーズに高い効果があるわけではありません。むしろその逆で、ヨガはローテクです。

さっそく、このようなポーズをしてみましょう。

ポーズ1

まずはじめに、自分の心臓を包み込むように、胸骨の中心付近で手を重ねてみます。
鼻からゆっくり息を吐きながら、少し表情をにっこりさせて、手を下に下ろしてみましょう。
どうですか?気持ちがなんとなく、落ち着くのではないでしょうか。世界で一番簡単なヨガのポーズですが効き目は抜群です。私の息子は5歳になりますが、私がプリプリ怒っていたり、焦っていたりするとトコトコトコ、とやってきて、ママ!これ!と、この仕草をします。つまり、4歳ぐらいの子供にもできるリラックス方法を、私たち大の大人はともすれば日頃忘れてしまい、それストレスだ、パニックだ、眠れない、と大慌てしているわけです。

では、もう一度、心を落ち着けてみましょう。

ヨガというと長い歴史があり、ミステリアスなイメージがあるかもしれませんが、確かにインド由来のものなので、エキゾチックであることは確かです。だけど、今やアメリカをはじめ、全世界で趣味や健康管理として取り組む人が急増しています。それだけ、根底に流れるメッセージが普遍的だということですが、そのメッセージはどんなものかというと、「仲良くしましょう」ということです。別な言い方をすれば「戦争反対、喧嘩反対」さらに展開すれば「あなたは一人ぼっちじゃない、みんなが付いている、世の中みんな持ちつ持たれず、お互い様で、喧嘩両成敗」ということです。実際、ヨガの語源は「結ぶ、つなぐ」という意味で、ご縁や絆、感謝や思いやりを大切にしましょう、ということなのですが、私たちは時にしんどい時、そのことを思い出せなくなることがないでしょうか。あるいは頭ではわかっているけど、気持ちがいっぱいいっぱいだと、そんな余裕を持てない、ということもあると思います。

そんなときは、こんなポーズに取り組んでみましょう。

ポーズ2

背骨をしなやかにして、心を開くポーズです。
自分のことをぎゅーっと抱きしめて、お腹を覗きながら息を吐いてみましょう。体の中の全ての息を吐き切ったら、今度は自然に吸う息に任せます。息を吸いながら大きく手を開いて、体の前を開いていきましょう。これを呼吸に合わせて繰り返していきますが、こんどは意識を腰骨に向けてみましょう。腰骨を前後にコロンコロンと転がすのに背骨がついていく感じです。吸って転がして、手を大きく開いて、履いて転がして背中を丸め自分を抱きしめて。では最後にこれに、気持ちをつけてみましょう。自分を抱きしめながら、自分にありがとう。自分は頑張っている、褒めてあげましょう。こんどは、両手を開きながら、みんなにありがとう、いろんな人の助けを思い出して、実際、私たちはそのような思いを交錯させながら、社会で生活しています。自尊心を大切に、だけどそれだけではなく、みんな支え合って生きている。だけど、ふとした瞬間にそのことがスポッと抜け落ちてしまうことがあり、自分は孤独だ、とか自分だけが頑張っている、と思ってしまうこともあります。そんなときは、体を動かしてみればいいのです。もう一度一緒にやってみましょう。自分にありがとう、みんなにありがとう。体の動きを呼吸に乗せていくと、自然な波が蘇ってきます。

やってみて感じられたかと思いますが、呼吸に滑らかなカーブを描くようになると、気持ちも落ち着いてきます。これは科学的にも証明されていることで、呼吸が浅くて早いときは私たちの気持ちは焦り、煽られ、緊張します。反対に、呼吸が深くゆっくり行えているときは、周りがよく見え、寛容になれ、リラクスできます。だけど、この呼吸は心や体の影響を受けやすく、不安や疲れによってますます呼吸筋が硬くなり、呼吸が浅くなってしまいます。そんなときは、こんな動きを取り入れてみましょう。

ポーズ3

まず、肋骨と、腰骨の間をプニプニと触ってみましょう。ここの距離が短いと、私たちは呼吸が浅くなると言われています。それだけではなく、ここの距離が短いと、血の巡りが悪くなり、肝臓や腎臓、内臓に新鮮な酸素が届きにくくなるとも言われています。試しに、アメリカでマフィントップと呼ばれている実験をしてみましょう。思い切り猫背になってみましょう。はい、お肉がモリモリっと乗りますね。アメリカ人はこれを、カップケーキからはみ出した一番美味しいところ、マフィントップと呼びます。ずいぶんな言い方だな、と私も思いましたが、女性にとっては悩ましいものだと思います。実はこれは、隠すことができるんです。肋骨と骨盤の距離を広く保つようにすることです。では早速、片方の手で椅子の端をしっかり持って、片方の手は背中に添えます。息を吐きながらこのプニプニをできるだけ伸ばし、空間を作るつもりで脇を伸ばします。
吸って準備し、吐いて伸ばします。反対側も同様に。
どうでしょうか。脇腹の風通しが良くなりましたでしょうか。

ヨガの特徴は、道具が入らないということです。今使ったのも、自分の体の重みだけです。自分の体を支える筋力、これを骨格筋と呼びますが、これさえあれば、生活が不便になるのを防ぐことができます。

乳がんの手術をされた方から多く寄せられる声として、リンパ浮腫への不安と、腕の可動域の回復があります。リハビリで腕を高く上げるプログラムはあるけど、メモリで行うと今日はできた、今日はできないと一喜一憂してしまう、と。ならば、ヨガでこんな動きを試してみましょう。

ポーズ 4

両方の肘を曲げ、顔の前で合わせます。
ここで大切なのは、自分が今日、閉じれるところから、開けるところまで動かせばいい、ということです。スタートとゴールは人に決められるのではなく、自分の体と相談して決める。これがエクササイズとヨガの違いです。Just for Today, つまり今日できるところで楽しもう、という考え方です。今日は今日できるところで気持ち良く、明日は明日できるところで気持ち良く。では、実際にやってみましょう。吐いて閉じて、吸って開きます。吐いて閉じて、吸って開いて、少しにっこり。慣れてきたら、鼻で呼吸するようにしましょう。

ポーズ 5

IMG_0511

今度はこれを、上下に展開してみましょう。
スタートとゴールが自由というのは同じです。
上げて下ろして、肩甲骨を引き寄せます。
実はこれは、2つの観点からリンパ浮腫の予防にとても大切です。
皆様の先生はこんなことを言わないでしょうか。
リンパ浮腫にならないために、重すぎるものは持たないように、だけど全く筋肉がないのもリンパ浮腫には良くない、と。一体どうすればいいの?と。それにはこの運動はとてもオススメです。腕の重みだけをつかった骨格筋の筋トレです。しかも肩甲骨の動きをよくするので、巡りが良くなり、肩こりの予防にもなります。
肩甲骨の位置は姿勢にも影響し、姿勢は全身のリンパの回りにも影響します。
また、手を心臓より高く上げることは、重力を利用したリンパフローの向上にもつながります。

さて、少し腕が動いてきたところで社会復帰のことを考えてみましょう。
自分がこれからやりたいこと、一歩前に進みたい時、足を一歩前に踏み出す力はどこから湧いてくると思いますか?それはおへその奥の丹田です。だけどこの丹田、不思議な特徴があります。もう一度猫背になって、おへその奥に意識を向けてみましょう。入らないんですね。今度は、背筋を伸ばして同じことをしてみます。意識が確かに向かうのです。つまり、前に進む一歩を踏み出すにはまず、体の前側をしっかり開きたいのです。

ポーズ6

椅子に座ったまま、弓をひく仕草をしてみましょう。
これも吸う吐くにあわせてペースが取りやすいポーズです。吸って構えて、履いて弓をひいて、慣れてきたら体を少しひねりながら、いろんな方向に矢を構えてみましょう。体を捻ることで内臓に新鮮な酸素と血液を送り込むポーズでもあります。

ポーズ 7

それから、社会復帰のためには足腰の筋肉をつけていくことが大切です。ヨガのポーズにはそのようなものがたくさんありますが、今日はあえて皆様が自宅でも簡単にできる方法をお伝えしたいと思います。
ヨガというと股関節がパカッと開いているイメージがあるかと思いますが、あれは好きな人がやっているだけなので気にしないでください。別に両足が床に着いたからといって人生が開けていくわけではありません。ヨガでは実は大切なのは、股関節が柔らかいかどうかではなく、足首と膝が硬すぎないこと、なのです。もし、私の足首と膝が著しく硬ければ、このような歩き方になります。「ズドドコドコ」地面からの衝撃は全て腰で受け止めなくてはならず、1日の終わりには腰が疲れてしまいます。足首と膝がある程度柔らかければ、地面からの衝撃を吸収することができ、第二の心臓と呼ばれるふくらはぎのポンプ作用が保たれ、全身の巡りも良くなります。

このように、運動療法は、静脈やリンパの流れに影響し、筋肉と内臓から老廃物をしっかり流せる体づくりを可能にします。でも、実はヨガで本当に大切なのは、どんなポーズをするかよりも、心にどのような影響を与えていくかなのです。

ポーズ 8

心に最も影響を与えるのは呼吸のペースです。
これまで行ってきたポーズはどれも、呼吸を今より深くゆっくりと変化させていくことができます。体をゆっくり動かすことで、呼吸の波も変化を受けていくからです。
今日は、もうひとつ、気が向いたときにできる呼吸法をご紹介したいと思います。

不安で仕方がなかったり、寝付けなかったり、イライラしておかしいな、と思う時は、自律神経を整えるこの呼吸法を試してみてください。
片方ずつ鼻の穴をつかうので、片鼻呼吸法と言います。
じゃんけんぽんの田舎っぺチョキ。これで親指で右の鼻を塞ぎます。左から吸って、指で鼻を塞ぎ変え、右から吐き切ります。右から吸って、塞ぎ変え、左から吐きます。これを繰り返していきますが、わからなくなったらこれでもOK。要は、体の左右交互に刺激を与えることで、自分の体がバランスを見出す動きを促しているわけです。
今日は皆様にご自宅でも取り組んでいただけるポーズをご紹介しましたが、もしもう少し本格的にヨガを始めてみたいな、という方は、乳がん、ヨガ、指導者、クラスで検索してみていただければと思います。
http://breastcancer-yoga.luna-works.com/class

あるいは、町のクラスに参加される時は、3つのことを心がけてください。一つは、乳がんの手術をされたことを、あらかじめ先生にお伝えください。そして2つ目、腕に全体重がかかるポーズは、他のポーズに置き換えてもらいましょう。例えばこういうことです。犬のポーズは、壁や椅子を使って、腕に全体重がかかるのを避けることができます。そして3つ目は、疲れたら休む、ヨガを決してやることリストに入れないでください。いかに上手にポーズをとれることとヨガが心や体にもたらす効果は比例しません。むしろ、どれくらい自分の心と体に気づきがあったかをクラス参加の目安としていただければと思います。

冒頭にお話ししましたように、ヨガでがんを直接的に治療できるわけではありません。しかし、治療に取り組む気持ち、病気と向き合う気持ちを違うものにしてくれるかもしれません。

呼吸の仕方、体の動かし方がわかってくると、QOL にもいい影響を与えてくれます。ヨガがきっかけとなり、自分の心や体と向き合ったり、慈しむ気持ちがセルフケアの習慣となれば、きっと毎日の生活が今より希望と安心感に満たされたものになります。それが、世界中で多くの乳がん患者さんからヨガと出会えてよかったという声が届けられる理由ではないかと思います。

そろそろおしまいの時間がきましたので 8つのポーズをおさらいしてみましょう。

1日一つやってもいいですし、全て通してやっても15分かかりません。呼吸法は毎日の習慣にすると、随分心の動きが穏やかになってくると思います。

(1)まず、気持ちを落ち着けるには、ローテクですがこんな簡単なポーズです「胸をなでおろす」

(2)平和な気持ちは、自分と周り、両方への感謝から生まれます。吸ってみんなにありがとう、吐いて自分にありがとう。

(3)深くゆっくりした呼吸で自律神経を整えましょう。呼吸筋をほぐし、空気を取り込めるキャパシティをアップします。

(4)リンパ浮腫の予防と可動域アップのリハビリには、Just for Today. 心の扉を開くポーズです。自分の腕の重みを使いながら開いて閉じて。今日できるところから今日できるところまで。今人気の365日の紙飛行機。どのくらい飛んだかではなく、どう飛んだか、楽しかったか、気持ちいいかが大切です。

(5)今度は向きを変えて。肩甲骨を引き寄せて、肩こり予防です。

(6)弓を弾くポーズで、新しい自分へ、様々な方向に矢を放ち、内臓のめぐりもよくしていきましょう。

(7)足首を回して膝を揉む。収縮しやすい足をつくって、めぐりを良くしましょう。

(8)田舎っぺチョキで、片鼻呼吸法です。

今日の会をきっかけに、皆様が呼吸とともに体を動かす気持ちよさに気づき、生活に取り入れていっていただけるようですと嬉しく思います。また、医療関係者の皆様にも、ヨガを心と体、そして生活の全人的ケアの一つの選択肢としてご検討いただけるようですと幸いです。

本日はありがとうございました。

岡部 朋子

With You Kyushu の詳細はこちらをご覧ください。
http://www.kurume-geka.com/upimg/files/img06487.pdf

お世話になりました関係者のみなさまに心より感謝申し上げます。

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(注)本記事はBCYの前身であるルナワークスの乳がんヨガHP当時のものとなります。
2016年02月2日 | 講演情報など

(ご本人のご了承を得てご紹介させていただきます)

岡部朋子先生

 私は以前、岡部先生の講座(乳がん、シニア、更年期障害、クロストレーニング)
を受講させていただきました、泰と申します。

クロストレーニング・ヨガの講座を受講した際の休憩時間、
岡部先生に「乳がんリハビリヨガ」を行っている旨をお話ししたところ、
先生から「講座終了後の生徒さんから、実践しているお話しがなかなか上がってこない・・・
実践してのその後のお話しが聞きたい・・・」とお話してくださいました。
当時、私は何十回目かの「乳がんリハビリヨガ」を行っていましたが、まだまだ暗中模索の真っ最中で
先生にご報告するどころか、逆にお聞きしたいことばかり・・・
何らかの結果が出た時、又は何らかの区切りで、岡部先生にご報告できたら・・・と思っておりました。
本日、ご報告と岡部先生へ感謝の意味も込め、メールさせていただきます。

YOGAのTTを受けている最中のことでした。
友人Aさんの乳がんが見つかり、その後手術を受けました。
そのことがきっかけで先生の「乳がん患者さん向けヨガ指導者養成講座」を受講、
すぐに狭いながらも自宅でマンツーマンの「乳がんリハビリヨガ」を行うことにしました。
Aさんは毎週ご自宅から車で1時間かけて通って来られ、ヨガを行うことに対してのご家族の理解や
協力も徐々に得ているようでした。
半年が過ぎた頃、「岡部先生のメディカルヨガサイトの登録を見てメールしました・・・」と
術後間もないBさんからメールをいただき、 レッスンに通ってくださることになりました。

それ以来、お二人と共に週一回のクラスを行っています。
年齢も皆同世代、更年期も視野に入れなくてはならない年齢・・・
乳がんと更年期という微妙な重なり合いが生じた時、都度対応できればとの思いで、
2013年10月に「更年期障害治療の為のヨガセラピー講師養成講座」も受講。

レッスンを重ねて行くと、
先生の講座で教えていただいた事の一つ一つが、実践に沿った的確なアドバイスであったことに気づき、
毎回がとても勉強になっています。
その日その日の体調の変化、ご家族の都合や家事に追われお疲れが溜まってしまう状況、
ご自身のお身体を第一に考えられない介護を伴う環境などなど・・・
患者さんを取り巻く環境は実に様々で、この世代だからこその悩みも多く、奥が深いと実感しています。
そんな状況がわかるからこそ、
ひとときの安らげる時間を提供したい・・・という思いが日々大きくなっていきます。

レッスン内容は、大まかなメニューを前日に決めますが、当日の体調を伺って頭の中で組み替えを行います。
午前11時にお越しいただいて、午後1時過ぎにレッスンを終わり、
軽食で遅めの昼食をとりながら皆で閑談をして終わります。

そんな地味なレッスンが9月24日「乳がんリハビリヨガ」クラスを始めて、ちょうど100回目を迎えました。

Aさんは整形外科のリハビリマッサージとヨガを併用し続けて、数ヶ月前に職場復帰を果たしました。
(岡部先生からの治療は続けるように・・・とのお話しをお伝えし、マッサージも辞めないでいただきました)
Bさんは回を重ねるごとに緊張が解けてきたのか、お話する声や表情がとても生き生きとした雰囲気に。
レッスン前後、お二人のお話している姿はとても楽しそうで、笑顔や笑い声がたえません。

リストラティブヨガのリラックス、患者さん同士のコミュニケーション等々・・・講座で教えていただいた
あれこれの相乗効果が、職場復帰や日常の明るさを取り戻すまでの結果へと導いていただけたのだと思っています。
岡部先生の丁寧なご指導と熱い思いに心より、心より、感謝いたします。本当にありがとうございます!

今回、このご報告メールを送信するにあたって、AさんBさんに了解を得て更に「岡部先生、乳がん患者さんに向けて
お伝えしたいことが有れば、報告とともに書き添えます」とメールしたところ、以下のような回答をいただきましたので
お伝え致します。

Aさんより
「ヨガのお陰で整形の受診(リハビリマッサージ)が月一度になり、無理かと思われた職場復帰も叶いました。
レッスンに出掛ける前は上がりにくい腕が、帰りにはスッと上がります。最初の頃に比べたら随分上がるように
なりました 」
Bさんより
「ヨガのポーズはまだまだですが、メンタル方面の回復にはとても良い。目を閉じて呼吸に集中していると、
あまり余計なことを考えなくなります。レッスン後もその状態が少しですが、続きます。闘病中でいろいろ考えて
しまう方に、呼吸は身体に負担にならないし良いと思いますよ」

とのことです。
今後も、地味に我が家での「乳がんリハビリヨガクラス」を続けていこうと思っています。
少人数だからこその安心感やリラックス・・・を提供していければと。
まだまだ未熟な私ですから、生徒さんから学び、ますます勉強しなくては・・・

岡部先生から発信される患者さんへの温かな想いが、もっとたくさんの方々に伝わりますように・・・
岡部先生、ありがとうございます。

横浜市・泰

(注)本記事はBCYの前身であるルナワークスの乳がんヨガHP当時のものとなります。
2015年11月24日 | 体験者の声

ご紹介に預かりました岡部朋子と実技を担当します山下富久子です。本日は貴重な機会をありがとうございます。私はアメリカで高齢者向けのヨガの勉強を始めましたが、当時乳がんやその他重篤疾患の方々がリハビリや治療計画の一環としてヨガを積極的に取り入れ始めているのを目の当たりにし、やがて日本でも必要性が高まってくると予感いたしました。実際、アメリカの病院には会議室がヨガルームに改造されているところがあります。このような取り組みはアメリカではヨガセラピーと呼ばれていますが、合言葉はいつも「息さえできればヨガはできる」というものです。ヨガというと難しいポーズや特殊な呼吸法というイメージがあるかもしれません。実際そのようなものもあります。しかし、セラピーとして使われているヨガはもっとヨガの本質的なところを用いています。それは「観察」と「呼吸」そして「巡らせる動き」です。

ワーク1)
気づきや観察というと少しスピリチュアルな感じがするかもしれません。しかし実際はこんなに簡単なことだったりします。みなさん、両手を交差させ、両肩に置いてみましょう。そのまま息を吸って、吐きながら軽く顎を引きます。息をたっぷり吸って、もう一度吐きながら軽く顎を引きます。いかがでしょうか。これだけでも気持ちが落ち着くのがわかると思います。実は、これは5歳の子供でもできることです。私の息子にも時々落ち着かせたいときにこうするのですが、最近では私が怒り始めると息子が「ママ、こうでしょ」と逆にたしなめられる始末ですが、5歳の子供でもできることを私たち大人が忘れ、不安だ、大変だと言っているような気がします。このように、心のケアはいつも呼吸から始まります。なぜなら私たちは不安なときや心が警戒状態にあるとき、決まって速くて浅い呼吸をしているからです。

ワーク2) 次に、猫背の姿勢を取ってみましょう。
猫背の状態で、丹田といわれるおへその奥に意識を向けようとします。すると、おへその奥に力が入らないのがわかると思います。一方、姿勢を正していただきおへその奥に意識を向けようとすると、今度は入ります。このように、胸の前が硬くなったり、猫背になることは、自信を失い、心を閉ざし、コミュニケーション力を落としてしまうという点で、社会復帰にとっては致命的なことです。ヨガでは首の前と胸のあたりはコミュニケーションを司る部位と考えられています。乳がんの患者さんのリハビリにおいて、まさに患部である胸の前をどうやって開いていくかが問われていきます。

ワーク3)
腕を顔の前で合わせます。ここで大切なのは、ぴったり合わせる必要はないということです。その日の体調によって、どこまで腕を閉じれるかが違うと思います。同じように、どこまで開けるかも違うと思います。これは、ゴールとスタートがどこにあるか、ではなくて、今日の自分の行けるところから行けるところまで行って戻ってくるということが大切なのです。そして、みなさん、たった数往復しただけで結構腕が疲れているのではないでしょうか。自分の腕の重みを維持するというのは結構な運動な訳です。だけど、ヨガの特徴は、自分の体の重みで十分運動ができるということです。リンパ浮腫の予防には、重いものを持たないようにするといわれる反面、リンパの戻りをよくするためにある程度筋肉をつけておきたいということが言われます。実際そのさじ加減が難しいと思われている訳ですが、誰かの腕ではなく、自分の腕の重みでしっかり運動できるのもヨガの特徴です。

ワーク4) 身体に酸素を取り込むためにこのような動きをすることもあります。Cat & Cow 猫と牛のポーズといわれるこの動きはヨガ教室では四つん這いで行われるのが一般的ですが、乳がんリハビリヨガでは椅子に座ったまま行い腕に負荷をかけないようにします。息を吸って胸をそらし、息を吐きながら背中を丸めます。このときに、背骨だけをくねらせるのではなく呼吸に合わせて骨盤を前後にコロンコロンと転がしながら行うことがポイントです。このポーズは、ヨガのクラスが和気藹々としてくると、次のように行ったりもします。先ほどのように肩に手をかけ自分を抱きしめながら息を吐き、自分にありがとう、自分にお疲れさま。息を吸いながら両手を大きく広げ、支えてくれるみんなにありがとう。息を吐いて自分にありがとう、こうやって呼吸に合わせて腕を動かすことで、その日の自分の腕の可動域に合わせ腕の付け根を気持ちよくストレッチすることもできます。

そして実は社会復帰に必要なのは足腰の力です。長い間療養生活を送っていると足の内側の筋肉が衰えていきます。そこで、このような動きをお勧めしています。

ワーク5)
足を開いて、つま先は斜め45度、息を吸いながら両手を大きく広げます。息を吐きながら腰を落とし、肘を曲げます。息を吸って、身体に大きく酸素を取り込みながら、息を吐きながら腰を落とします。さて一旦皆さん、自分の足幅を調整してみましょうか。腰を落としたときに収まりがいい足幅を探してみましょう。人と違っていいのです。自分が快適な足幅を探し、もう一度行ってみましょう。

たった3-4回呼吸するだけで、少し汗ばんで来ないでしょうか。この動きは、足の内側や肩甲骨周りの筋肉を連動させて動かし、すぐに身体が温まります。しかも、腕の上げ方にポイントがあります。普通のヨガは腕を頭上にあげるものが多く、これがあると乳がんの患者さんは「上がらない腕」に挫折感を感じてしまいます。しかし、腕を斜め上にあげることによって、今日自分が上がるところまで腕を開いて行ってもらうことができます。今日はこれぐらいかもしれないし、明日はこれぐらいかもしれない。もしくは、両方の高さは異なるかもしれない。それでもいいんです。

ワーク6)
さて、少し身体を動かすことに慣れてきたところで、街のヨガ教室に参加してみようかな、というときにアドバイスするのが、腕に負荷をかけないように、ということです。たとえば、このポーズ、下向きの犬のポーズというヨガ教室の定番ポーズです。脇から背中にかけてが気持ちよく伸びます。しかしこれでは腕に体重がかかりすぎ、リンパ浮腫のリスクを高めてしまいます。ですので、術後の患者さんにはこのように椅子の背もたれにつかまった簡略形をお勧めしています。これであれば腕に必要以上の体重がかかりません。その状態で、背中から脇、腕の付け根を気持ちよく伸ばすことができるのです。これはもちろん、壁に向かってやっても構いません。壁で行うメリットは、高いところに手をつくことによってより稼働域が狭い方でも
始めることができます。

でも今までご紹介したポーズができるのは、ちゃんと元気があるということが前提です。患者さんの中にはこれくらいのことをするのもしんどいという心の状態の方もいることでしょう。そんなときは道具の力を借りてポーズをとることもあります。

ワーク7) (リストラティブヨガ)
ボルスターといわれる体の幅ぐらいの抱き枕があります。これに背中を預け仰向けになることによって、自然と胸が開きます。ただここで大切なのは、腕の付け根が痛くならないように枕などでしっかり支えることです。このポーズ、とても矛盾に満ちたポーズで「開いているのに閉じている」ポーズです。胸や体を開いているのに意識はどんどん自分の内面に向かっていきます。呼吸が次第にゆっくり穏やかになるにつれ、日頃から目を背けようとしてきたことや、本当の自分の願い、自分がどうやっていきたかったのか、いていきたいのか、自分と対話する時間を確保することができます。

一方、なかなか疲れが取れないときには椅子の上に乗せ、腰の下に枕を置いて、足の疲れが傾斜を通ってて
鎖骨リンパに戻ってくるように配置します。このとき手は万歳をしますが、腕が浮いてしまうようなときはさらにそこを枕で支えます。足の古い血やリンパが心臓や上半身に戻りやすくなることによって、よく眠れれるようになります。

それから、ヨガではひねりのポーズは気分転換やリフレッシュによく使わわれます。私たちは不安なときやイライラしたときは脇の下が縮むといわれています。するとどうなるかというと、肝臓や腎臓に新鮮な酸素や血液が運ばれるのが妨げられます。ですので、無理せずひねりのポーズを行いたいのですが、ボルスターを使ってこうやって休みながらひねることもできます。こうすると、骨盤とろっ骨の間に空間が生まれます。

このようなポーズは実は、病院や自宅にあるもので十分可能なのです。各地の病院でスタッフの方々と実践練習を行う機会がありましたが、病院には枕やバスタオル、そしてリハビリ用の足首や手足に巻く砂のうなどがあります。たとえば、どうしても不安で気分が晴れないという患者さんに深い腹式呼吸で気持ちを落ち着けてもらうために、仰向けになっていただきお腹に枕を乗せ、その上に砂のうや重い本などを乗せて呼吸をしてもらいます。すると呼吸をするたびに枕が動きます。動く枕に意識が向かうと、呼吸はよりゆっくりとなっていきます。

私がこのようなヨガの先生の養成を始めて4年になりますが、47都道府県に患者さんが安心して通えるヨガクラスの設置を目指しています。そして地方によっては医療機関で勉強会や体験会、実際のクラスが行われ始めています。たとえば東海大学の病院では看護師さんがクラスを持って、体を動かしたい人のクラス、少しリラックスしたい人のクラス、というような二部構成で行っています。中には看護師さんたちの気分転換にヨガを福利厚生や部活動に取り入れているところもいらっしゃいます。医療現場の皆さんがリラックスすることで、患者さんたちも安心して心を開きやすくなるかもしれないとおっしゃっています。実際にやることは、今皆さまに体を動かしていただいたような簡単なポーズです。ヨガの経験が豊かである必要はありません。

私がこの乳がんリハビリヨガに抱いている希望の一つに、私の養成講座に参加する方はヨガの先生たちだけではないということがあります。医療や福祉に関わる方々や、乳がんの体験者さんたちもいます。それを同じような体験をした方々に伝えたいと、活動を始めている方が増えてきています。

実は最近、私のウェブサイトに乳がんリハビリヨガを教えられる全国の先生のリストを公開いたしまました。残念ながらまだ47全ての都道府県をカバーするに至っていませんが、同じ地域であれば勉強会に駆けつけてくれると思います。もし、患者さんたちにヨガを体験する機会を持ちたい、看護師さんたちの勉強会をしたい、ということがございましたら、私あてにご連絡をいただくか、リストを検索していただけましたらと思います。また、乳がんに限らず全てのがん患者さんを対象にしたヨガクラスの先生たちが関東でネットワークを作って活動しています。こちらはがんクラス向上委員会で検索をしていただければと思います。

今日はお昼休みの貴重な機会をいただきましてありがとうございました。
最後に胸の前で手を合わせ、隣近所の方々とにっこりご挨拶をしていただきおしまいにさせていただけたらと思います。ありがとうございました。

           

(注)本記事はBCYの前身であるルナワークスの乳がんヨガHP当時のものとなります。
2015年09月7日 | 講演情報など
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