乳がんヨガ指導者養成&患者さまへのヨガ環境整備

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乳がんヨガ最新情報

(ご本人のご了承を得てご紹介させていただきます)

岡部朋子先生

 私は以前、岡部先生の講座(乳がん、シニア、更年期障害、クロストレーニング)
を受講させていただきました、泰と申します。

クロストレーニング・ヨガの講座を受講した際の休憩時間、
岡部先生に「乳がんリハビリヨガ」を行っている旨をお話ししたところ、
先生から「講座終了後の生徒さんから、実践しているお話しがなかなか上がってこない・・・
実践してのその後のお話しが聞きたい・・・」とお話してくださいました。
当時、私は何十回目かの「乳がんリハビリヨガ」を行っていましたが、まだまだ暗中模索の真っ最中で
先生にご報告するどころか、逆にお聞きしたいことばかり・・・
何らかの結果が出た時、又は何らかの区切りで、岡部先生にご報告できたら・・・と思っておりました。
本日、ご報告と岡部先生へ感謝の意味も込め、メールさせていただきます。

YOGAのTTを受けている最中のことでした。
友人Aさんの乳がんが見つかり、その後手術を受けました。
そのことがきっかけで先生の「乳がん患者さん向けヨガ指導者養成講座」を受講、
すぐに狭いながらも自宅でマンツーマンの「乳がんリハビリヨガ」を行うことにしました。
Aさんは毎週ご自宅から車で1時間かけて通って来られ、ヨガを行うことに対してのご家族の理解や
協力も徐々に得ているようでした。
半年が過ぎた頃、「岡部先生のメディカルヨガサイトの登録を見てメールしました・・・」と
術後間もないBさんからメールをいただき、 レッスンに通ってくださることになりました。

それ以来、お二人と共に週一回のクラスを行っています。
年齢も皆同世代、更年期も視野に入れなくてはならない年齢・・・
乳がんと更年期という微妙な重なり合いが生じた時、都度対応できればとの思いで、
2013年10月に「更年期障害治療の為のヨガセラピー講師養成講座」も受講。

レッスンを重ねて行くと、
先生の講座で教えていただいた事の一つ一つが、実践に沿った的確なアドバイスであったことに気づき、
毎回がとても勉強になっています。
その日その日の体調の変化、ご家族の都合や家事に追われお疲れが溜まってしまう状況、
ご自身のお身体を第一に考えられない介護を伴う環境などなど・・・
患者さんを取り巻く環境は実に様々で、この世代だからこその悩みも多く、奥が深いと実感しています。
そんな状況がわかるからこそ、
ひとときの安らげる時間を提供したい・・・という思いが日々大きくなっていきます。

レッスン内容は、大まかなメニューを前日に決めますが、当日の体調を伺って頭の中で組み替えを行います。
午前11時にお越しいただいて、午後1時過ぎにレッスンを終わり、
軽食で遅めの昼食をとりながら皆で閑談をして終わります。

そんな地味なレッスンが9月24日「乳がんリハビリヨガ」クラスを始めて、ちょうど100回目を迎えました。

Aさんは整形外科のリハビリマッサージとヨガを併用し続けて、数ヶ月前に職場復帰を果たしました。
(岡部先生からの治療は続けるように・・・とのお話しをお伝えし、マッサージも辞めないでいただきました)
Bさんは回を重ねるごとに緊張が解けてきたのか、お話する声や表情がとても生き生きとした雰囲気に。
レッスン前後、お二人のお話している姿はとても楽しそうで、笑顔や笑い声がたえません。

リストラティブヨガのリラックス、患者さん同士のコミュニケーション等々・・・講座で教えていただいた
あれこれの相乗効果が、職場復帰や日常の明るさを取り戻すまでの結果へと導いていただけたのだと思っています。
岡部先生の丁寧なご指導と熱い思いに心より、心より、感謝いたします。本当にありがとうございます!

今回、このご報告メールを送信するにあたって、AさんBさんに了解を得て更に「岡部先生、乳がん患者さんに向けて
お伝えしたいことが有れば、報告とともに書き添えます」とメールしたところ、以下のような回答をいただきましたので
お伝え致します。

Aさんより
「ヨガのお陰で整形の受診(リハビリマッサージ)が月一度になり、無理かと思われた職場復帰も叶いました。
レッスンに出掛ける前は上がりにくい腕が、帰りにはスッと上がります。最初の頃に比べたら随分上がるように
なりました 」
Bさんより
「ヨガのポーズはまだまだですが、メンタル方面の回復にはとても良い。目を閉じて呼吸に集中していると、
あまり余計なことを考えなくなります。レッスン後もその状態が少しですが、続きます。闘病中でいろいろ考えて
しまう方に、呼吸は身体に負担にならないし良いと思いますよ」

とのことです。
今後も、地味に我が家での「乳がんリハビリヨガクラス」を続けていこうと思っています。
少人数だからこその安心感やリラックス・・・を提供していければと。
まだまだ未熟な私ですから、生徒さんから学び、ますます勉強しなくては・・・

岡部先生から発信される患者さんへの温かな想いが、もっとたくさんの方々に伝わりますように・・・
岡部先生、ありがとうございます。

横浜市・泰

(注)本記事はBCYの前身であるルナワークスの乳がんヨガHP当時のものとなります。
2015年11月24日 | 体験者の声

ご紹介に預かりました岡部朋子と実技を担当します山下富久子です。本日は貴重な機会をありがとうございます。私はアメリカで高齢者向けのヨガの勉強を始めましたが、当時乳がんやその他重篤疾患の方々がリハビリや治療計画の一環としてヨガを積極的に取り入れ始めているのを目の当たりにし、やがて日本でも必要性が高まってくると予感いたしました。実際、アメリカの病院には会議室がヨガルームに改造されているところがあります。このような取り組みはアメリカではヨガセラピーと呼ばれていますが、合言葉はいつも「息さえできればヨガはできる」というものです。ヨガというと難しいポーズや特殊な呼吸法というイメージがあるかもしれません。実際そのようなものもあります。しかし、セラピーとして使われているヨガはもっとヨガの本質的なところを用いています。それは「観察」と「呼吸」そして「巡らせる動き」です。

ワーク1)
気づきや観察というと少しスピリチュアルな感じがするかもしれません。しかし実際はこんなに簡単なことだったりします。みなさん、両手を交差させ、両肩に置いてみましょう。そのまま息を吸って、吐きながら軽く顎を引きます。息をたっぷり吸って、もう一度吐きながら軽く顎を引きます。いかがでしょうか。これだけでも気持ちが落ち着くのがわかると思います。実は、これは5歳の子供でもできることです。私の息子にも時々落ち着かせたいときにこうするのですが、最近では私が怒り始めると息子が「ママ、こうでしょ」と逆にたしなめられる始末ですが、5歳の子供でもできることを私たち大人が忘れ、不安だ、大変だと言っているような気がします。このように、心のケアはいつも呼吸から始まります。なぜなら私たちは不安なときや心が警戒状態にあるとき、決まって速くて浅い呼吸をしているからです。

ワーク2) 次に、猫背の姿勢を取ってみましょう。
猫背の状態で、丹田といわれるおへその奥に意識を向けようとします。すると、おへその奥に力が入らないのがわかると思います。一方、姿勢を正していただきおへその奥に意識を向けようとすると、今度は入ります。このように、胸の前が硬くなったり、猫背になることは、自信を失い、心を閉ざし、コミュニケーション力を落としてしまうという点で、社会復帰にとっては致命的なことです。ヨガでは首の前と胸のあたりはコミュニケーションを司る部位と考えられています。乳がんの患者さんのリハビリにおいて、まさに患部である胸の前をどうやって開いていくかが問われていきます。

ワーク3)
腕を顔の前で合わせます。ここで大切なのは、ぴったり合わせる必要はないということです。その日の体調によって、どこまで腕を閉じれるかが違うと思います。同じように、どこまで開けるかも違うと思います。これは、ゴールとスタートがどこにあるか、ではなくて、今日の自分の行けるところから行けるところまで行って戻ってくるということが大切なのです。そして、みなさん、たった数往復しただけで結構腕が疲れているのではないでしょうか。自分の腕の重みを維持するというのは結構な運動な訳です。だけど、ヨガの特徴は、自分の体の重みで十分運動ができるということです。リンパ浮腫の予防には、重いものを持たないようにするといわれる反面、リンパの戻りをよくするためにある程度筋肉をつけておきたいということが言われます。実際そのさじ加減が難しいと思われている訳ですが、誰かの腕ではなく、自分の腕の重みでしっかり運動できるのもヨガの特徴です。

ワーク4) 身体に酸素を取り込むためにこのような動きをすることもあります。Cat & Cow 猫と牛のポーズといわれるこの動きはヨガ教室では四つん這いで行われるのが一般的ですが、乳がんリハビリヨガでは椅子に座ったまま行い腕に負荷をかけないようにします。息を吸って胸をそらし、息を吐きながら背中を丸めます。このときに、背骨だけをくねらせるのではなく呼吸に合わせて骨盤を前後にコロンコロンと転がしながら行うことがポイントです。このポーズは、ヨガのクラスが和気藹々としてくると、次のように行ったりもします。先ほどのように肩に手をかけ自分を抱きしめながら息を吐き、自分にありがとう、自分にお疲れさま。息を吸いながら両手を大きく広げ、支えてくれるみんなにありがとう。息を吐いて自分にありがとう、こうやって呼吸に合わせて腕を動かすことで、その日の自分の腕の可動域に合わせ腕の付け根を気持ちよくストレッチすることもできます。

そして実は社会復帰に必要なのは足腰の力です。長い間療養生活を送っていると足の内側の筋肉が衰えていきます。そこで、このような動きをお勧めしています。

ワーク5)
足を開いて、つま先は斜め45度、息を吸いながら両手を大きく広げます。息を吐きながら腰を落とし、肘を曲げます。息を吸って、身体に大きく酸素を取り込みながら、息を吐きながら腰を落とします。さて一旦皆さん、自分の足幅を調整してみましょうか。腰を落としたときに収まりがいい足幅を探してみましょう。人と違っていいのです。自分が快適な足幅を探し、もう一度行ってみましょう。

たった3-4回呼吸するだけで、少し汗ばんで来ないでしょうか。この動きは、足の内側や肩甲骨周りの筋肉を連動させて動かし、すぐに身体が温まります。しかも、腕の上げ方にポイントがあります。普通のヨガは腕を頭上にあげるものが多く、これがあると乳がんの患者さんは「上がらない腕」に挫折感を感じてしまいます。しかし、腕を斜め上にあげることによって、今日自分が上がるところまで腕を開いて行ってもらうことができます。今日はこれぐらいかもしれないし、明日はこれぐらいかもしれない。もしくは、両方の高さは異なるかもしれない。それでもいいんです。

ワーク6)
さて、少し身体を動かすことに慣れてきたところで、街のヨガ教室に参加してみようかな、というときにアドバイスするのが、腕に負荷をかけないように、ということです。たとえば、このポーズ、下向きの犬のポーズというヨガ教室の定番ポーズです。脇から背中にかけてが気持ちよく伸びます。しかしこれでは腕に体重がかかりすぎ、リンパ浮腫のリスクを高めてしまいます。ですので、術後の患者さんにはこのように椅子の背もたれにつかまった簡略形をお勧めしています。これであれば腕に必要以上の体重がかかりません。その状態で、背中から脇、腕の付け根を気持ちよく伸ばすことができるのです。これはもちろん、壁に向かってやっても構いません。壁で行うメリットは、高いところに手をつくことによってより稼働域が狭い方でも
始めることができます。

でも今までご紹介したポーズができるのは、ちゃんと元気があるということが前提です。患者さんの中にはこれくらいのことをするのもしんどいという心の状態の方もいることでしょう。そんなときは道具の力を借りてポーズをとることもあります。

ワーク7) (リストラティブヨガ)
ボルスターといわれる体の幅ぐらいの抱き枕があります。これに背中を預け仰向けになることによって、自然と胸が開きます。ただここで大切なのは、腕の付け根が痛くならないように枕などでしっかり支えることです。このポーズ、とても矛盾に満ちたポーズで「開いているのに閉じている」ポーズです。胸や体を開いているのに意識はどんどん自分の内面に向かっていきます。呼吸が次第にゆっくり穏やかになるにつれ、日頃から目を背けようとしてきたことや、本当の自分の願い、自分がどうやっていきたかったのか、いていきたいのか、自分と対話する時間を確保することができます。

一方、なかなか疲れが取れないときには椅子の上に乗せ、腰の下に枕を置いて、足の疲れが傾斜を通ってて
鎖骨リンパに戻ってくるように配置します。このとき手は万歳をしますが、腕が浮いてしまうようなときはさらにそこを枕で支えます。足の古い血やリンパが心臓や上半身に戻りやすくなることによって、よく眠れれるようになります。

それから、ヨガではひねりのポーズは気分転換やリフレッシュによく使わわれます。私たちは不安なときやイライラしたときは脇の下が縮むといわれています。するとどうなるかというと、肝臓や腎臓に新鮮な酸素や血液が運ばれるのが妨げられます。ですので、無理せずひねりのポーズを行いたいのですが、ボルスターを使ってこうやって休みながらひねることもできます。こうすると、骨盤とろっ骨の間に空間が生まれます。

このようなポーズは実は、病院や自宅にあるもので十分可能なのです。各地の病院でスタッフの方々と実践練習を行う機会がありましたが、病院には枕やバスタオル、そしてリハビリ用の足首や手足に巻く砂のうなどがあります。たとえば、どうしても不安で気分が晴れないという患者さんに深い腹式呼吸で気持ちを落ち着けてもらうために、仰向けになっていただきお腹に枕を乗せ、その上に砂のうや重い本などを乗せて呼吸をしてもらいます。すると呼吸をするたびに枕が動きます。動く枕に意識が向かうと、呼吸はよりゆっくりとなっていきます。

私がこのようなヨガの先生の養成を始めて4年になりますが、47都道府県に患者さんが安心して通えるヨガクラスの設置を目指しています。そして地方によっては医療機関で勉強会や体験会、実際のクラスが行われ始めています。たとえば東海大学の病院では看護師さんがクラスを持って、体を動かしたい人のクラス、少しリラックスしたい人のクラス、というような二部構成で行っています。中には看護師さんたちの気分転換にヨガを福利厚生や部活動に取り入れているところもいらっしゃいます。医療現場の皆さんがリラックスすることで、患者さんたちも安心して心を開きやすくなるかもしれないとおっしゃっています。実際にやることは、今皆さまに体を動かしていただいたような簡単なポーズです。ヨガの経験が豊かである必要はありません。

私がこの乳がんリハビリヨガに抱いている希望の一つに、私の養成講座に参加する方はヨガの先生たちだけではないということがあります。医療や福祉に関わる方々や、乳がんの体験者さんたちもいます。それを同じような体験をした方々に伝えたいと、活動を始めている方が増えてきています。

実は最近、私のウェブサイトに乳がんリハビリヨガを教えられる全国の先生のリストを公開いたしまました。残念ながらまだ47全ての都道府県をカバーするに至っていませんが、同じ地域であれば勉強会に駆けつけてくれると思います。もし、患者さんたちにヨガを体験する機会を持ちたい、看護師さんたちの勉強会をしたい、ということがございましたら、私あてにご連絡をいただくか、リストを検索していただけましたらと思います。また、乳がんに限らず全てのがん患者さんを対象にしたヨガクラスの先生たちが関東でネットワークを作って活動しています。こちらはがんクラス向上委員会で検索をしていただければと思います。

今日はお昼休みの貴重な機会をいただきましてありがとうございました。
最後に胸の前で手を合わせ、隣近所の方々とにっこりご挨拶をしていただきおしまいにさせていただけたらと思います。ありがとうございました。

           

(注)本記事はBCYの前身であるルナワークスの乳がんヨガHP当時のものとなります。
2015年09月7日 | 講演情報など

本日は術後のケアとしてのヨガを紹介させていただく機会をありがとうございました。
アメリカではすでにヨガが予防医療やリハビリ、心のケアの一環として活用されており、がんサバイバーのクラスはどんどん増えています。

みなさま、ヨガというとどんなものを想像されますか。おそらく頭の上に足がのっていたり、自分は体が硬いから無理だと思われていると思います。

しかし医療や福祉の現場で活用されているヨガは、実際みなさまが今着ておられるスーツ姿で、椅子に座ったまま行っていただけるほど簡単なものがほとんどです。

患者さんにとってお医者さまであるみなさまが「僕にも/私にもできたから、始めてみたら?」とおっしゃっていただくほど安心することはないと思います。

今日は長いご講演の間、もしかしたら体を動かす機会もなかったかと思います。もしよろしければ、幾つかのポーズをご一緒いただき、実際にみなさまにもできることを確信していただき、患者さまにヨガを進めていただくきっかけとしていただければ幸いでございます。

【心のケアについて】

まず、もっとも今対応を急がれているのが、患者さんの心のケアについてだと思います。アメリカでも、病気の患者さんの心のケアはとても関心が高い分野です。決して簡単な領域でないことは日本と同じです。

心のケアの第一歩は息を深く吐くことから始まります。
胸の前で手を合わせ、軽く顎を引いてみましょう。自然とまぶたが閉じると思います。これが実はリラックスのスイッチです。

【腕の可動域について】

腕はどこからついているでしょうか?
皆さま、腕の付け根を触ってみてください。そして腕の付け根から腕を回してみてください。

では、騙されたと思って鎖骨に手を当てて腕を回してみていただきたいのです。鎖骨が動いているのが感じられますでしょうか。そうです、腕は傍ではなくて鎖骨から動いているのです。今、皆さんが脇の下を抑えながら腕を動かしている時と、鎖骨の動きを感じながら腕を動かしている時、その回し方がずいぶん違いました。私たちは体を意識したところから動かすという傾向があります。ところが術後の患者さんは、鎖骨周りが硬くなってしまいがちです。腕のリハビリにはこの鎖骨周りを緩めることが大切です。

では、今度は背面で腕はどこからついているでしょうか。肩甲骨でしょうか。
答えは、腰です。試しに腰に手を当てて、腕を動かしてみましょう。広背筋、腰方形筋から腕は生えています。ですので、腰が硬くなると腕の動きが悪くなります。腕のリハビリは、腰を伸ばすことから始まります。ヨガには腰を伸ばせるポーズが沢山あります。

【リンパ浮腫について】

ただし、犬のポーズや四つん這いについては注意が必要です。腕に体重がかかりすぎないように、椅子を使って行います。

【不安、イライラ】

私たちは不安になったりイライラしたりすると、脇の下が縮むと言われています。肋骨と骨盤の距離が狭くなると何よりお肉が乗ります。だけどそれだけでなく、肝臓や腎臓が窮屈です。日頃から、不安になったら椅子の背もたれなどに手をかけ、脇を伸ばすようアドバイスしていただけましたらと思います。

【社会復帰について】

社会復帰を望む患者さんたちにとって致命的なのはおへその奥に力が入らないことです。皆様、猫背になってみましょう。その状態でおへその奥を意識しようとしても力が入らないのです。一方、胸を開くと自然とおへその奥(丹田)に意識を向けることは容易になります。ですから、やる気を出すにはまず胸を開きたい、だけど乳がんの患者さんの場合、ここがかばいたい患部だというところが難しさがあります。

自分の腕の重みを使って、腕の可動域を少しずつ上げていく動きをご紹介します。体の前で腕を平行に揃え、息を吸いながら開いていきます。吐きながら閉じていきます。ここで大切なのは、腕の肘と肘をピタッとつける必要はないということです。今日、自分が腕を閉じられる場所で十分であり、開けるところまでで十分だということです。今日の自分に気持ちよくできるところで運動することが大切です。

それから、長い間治療生活を行っているとどうしても足の内側の筋肉が衰えていきます。脚の内側の筋肉を取り戻していくにはスクワットがオススメです。私の父の例で恐縮ですが、がんになってからスクワットだけを続けたところ、骨盤がたち、かかとから着地できるようになりました。外出を億劫がっていましたが、行動範囲が広がりました。がんを患っても、QOLを維持するためには足腰の筋肉は大切だと思います。

【全身の疲労感について】

足の疲れ、静脈やリンパが心臓に戻らないと疲れが取れません。
椅子に足を上げるポーズで万歳をすることで、逆立ちができない方でも全身の巡りをよくすることができます。お尻の下に枕をいれることで、足から水が流れるように、鎖骨のリンパに向かって流れる傾斜ができます。

お腹にサンドバックや枕をおいて深い腹式呼吸を行うことも心の疲れを取るためには有効です。

今日は術後の心と体のリハビリにヨガの可能性をご紹介させていただきました。
私自身この分野の可能性は、実際に乳がんを体験された方々がヨガを学び、自分と同じような体験をされた患者さんにヨガによって救われた、あるいは心が楽になったという体験を共有していただけるよう活動を始めていることだと思っています。今皆さまが会議の合間に体を動かされた、それぐらい簡単な少しの動きと呼吸で随分とリフレッシュし、気持ちを落ち着けることが可能です。ぜひ、実感されたことを患者さんにもアドバイスいただけましたら嬉しく思いますし、もし患者会などでのイベントを企画いただけるようでございましたら、ご連絡をいただけるようですと幸いです。

ご静聴ありがとうございました。

(注)本記事はBCYの前身であるルナワークスの乳がんヨガHP当時のものとなります。
2015年09月7日 | 講演情報など
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