健康をつくっていく
健康は、WHOによって次のように定義されています。「健康とは完全な肉体的、精神的・社会的に良好な状態であり、単に疾病や病弱の存在しないことではない」この定義に1998年、スピリチュアルやダイナミックという言葉を付け足すことも検討されました。さらに近年、健康について「社会的、身体的、感情的困難に直面した時に発揮される適応・変化と自己管理の能力を重点にした方向に変えること」という提案がオランダ人医師のMachteld Huberによってなされています。
乳がんの患者さまに対するヨガの役割は一つにとどまりません。適度な運動、リハビリテーション、ストレスケア、質の良い睡眠、休息、安心感を与える人間関係、自らが生きる意味の問いかけ、など、一人一人が必要としている健康ニーズに働きかけていきます。また診断から治療、回復の日々には雨の日も晴れの日もあります。乳がんヨガの指導者はそのような揺らぎを前提に、ゆっくりした呼吸を伝えながらヨガの生活への定着を目指していきます。
2018年、米国統合腫瘍学会(SIO:Society for Integrative Oncology)が発行した統合医療に関する一連の臨床実践ガイドラインが米国臨床腫瘍学会(ASCO)によって承認され、ヨガも一部その効果をエビデンスとして認められました。しかし研究で行われているヨガのプログラムは統一されたものではなく、研究の限界も存在することを認識しておく必要があります。BCYのカリキュラムで繰り返しお伝えしていることになりますが、ヨガは治療ではなく、治療や生活に前向きに取り組むための支援です。
ヨガにより全てを解決することはできないからこそ、医療において解決が難しかったパーツを補うつもりで活用していただくのが良いと思っています。
乳がんヨガの先生の中には、自らが乳がんを経験した方も少なくありません。このことは乳がんヨガへの認知と普及においてとても大きな影響があると考えています。他の癌に比べ予後が良い乳がんだからできることでもあり、高いレベルの標準治療を受けられる日本の医療制度の恩恵でもあります。
医療の外にある乳がんヨガを、医療者や患者さまにも安心して活用いただける人材育成とプログラムの充実を目指し、BCY Institute Japan は一般社団法人として社会への貢献を目指してまいります。
ご支援いただく全ての皆様に、この場をお借りし御礼申し上げます。