新年度が始まり、皆様におかれましてはますますご健勝のことと心よりお喜び申し上げます。
昨年度も一般社団法人BCY Institute Japanの活動へのご理解とご協力をありがとうございました。桜の季節と共に始まる新しい年度におきましても、乳がんヨガの普及と実装に向け、みなさまと共に歩みを進めていく所存です。
代表理事を務めさせていただいております私岡部朋子は、現在京都大学院の医学部にて公衆衛生と健康情報を学んでおります。新年度のご挨拶に代えて、大学院で得られた学びについてお話しさせてください。
世界中の研究者たちのたゆまぬ努力により、乳がんとヨガに関するエビデンスは年々充実してきております。エビデンスに基づく医療とは、科学的根拠に基づいた医療であるため、エビデンスが最優先されるすべきであるという誤解があります。
本来の意味のエビデンスに基づく医療とは、エビデンスを医療における不確実性を減らすための根拠として参照しつつ、医師自身の経験、そして実際の患者さんの状況を総合的に判断し、患者さんが良くなる確率の高い医療を提供しようというものです。
そこで大切になってくるのが、患者さんがヨガを通じて得る経験です。ヨガをすることに対し、不安があったり、またヨガをすることにより、心身へのダメージがあったりしないように提供する側は心がけていかなくてはならず、BCYは指導者養成講座を通じこれらの解消に取り組んでまいりました。
2024年度、BCYはこれまで以上に患者さんへのアプローチを強化してまいります。BCYはこのたび、患者さん向けのウェブサイトをオープンいたしました。(乳がん・がん患者さん向けヨガ情報)
どんなに優れたエビデンスがあっても、必要としている人にとってアクセスが良くなければ
活用していただくことができません。また、乳がんヨガをまずは「体験」できるようなワークショップも開催していきたいと考えております。
また、近年においては、医療は患者や市民と医療者が協創していくものであるという考え方が広まっています。乳がんヨガを通じて得られた経験を、患者さんからフィードバックいただける仕組みの構築も必要だと考えております。海外ではすでに「Patient like me」という、患者さんの語りを共有するプラットフォームでヨガの経験が語られています。日本においても、医療従事者の方が患者さんからヨガの経験についての語りを耳にした経緯から、乳がんヨガに対するお問い合わせをいただくことも増えてまいりました。大変嬉しいことであり、一人でも多くの患者さんに良い経験をしていただけるよう、さらに取り組んでまいりたいと思います。また、患者さんのみならず、医療従事者の方々にも私たちの活動や患者さんの経験を知っていただけるような機会の創出にも取り組んでいく所存です。
皆様のご支援とご協力を賜りながら、より良い社会貢献を果たしてまいります。本年度もどうか一般社団法人BCY Institute Japan をよろしくお願い申し上げます。
BCY代表理事 岡部 朋子