乳がんヨガ指導者養成&患者さまへのヨガ環境整備

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乳がんヨガ最新情報

Advance Care Planning セミナーでの乳がんヨガ紹介

本日は術後のケアとしてのヨガを紹介させていただく機会をありがとうございました。
アメリカではすでにヨガが予防医療やリハビリ、心のケアの一環として活用されており、がんサバイバーのクラスはどんどん増えています。

みなさま、ヨガというとどんなものを想像されますか。おそらく頭の上に足がのっていたり、自分は体が硬いから無理だと思われていると思います。

しかし医療や福祉の現場で活用されているヨガは、実際みなさまが今着ておられるスーツ姿で、椅子に座ったまま行っていただけるほど簡単なものがほとんどです。

患者さんにとってお医者さまであるみなさまが「僕にも/私にもできたから、始めてみたら?」とおっしゃっていただくほど安心することはないと思います。

今日は長いご講演の間、もしかしたら体を動かす機会もなかったかと思います。もしよろしければ、幾つかのポーズをご一緒いただき、実際にみなさまにもできることを確信していただき、患者さまにヨガを進めていただくきっかけとしていただければ幸いでございます。

【心のケアについて】

まず、もっとも今対応を急がれているのが、患者さんの心のケアについてだと思います。アメリカでも、病気の患者さんの心のケアはとても関心が高い分野です。決して簡単な領域でないことは日本と同じです。

心のケアの第一歩は息を深く吐くことから始まります。
胸の前で手を合わせ、軽く顎を引いてみましょう。自然とまぶたが閉じると思います。これが実はリラックスのスイッチです。

【腕の可動域について】

腕はどこからついているでしょうか?
皆さま、腕の付け根を触ってみてください。そして腕の付け根から腕を回してみてください。

では、騙されたと思って鎖骨に手を当てて腕を回してみていただきたいのです。鎖骨が動いているのが感じられますでしょうか。そうです、腕は傍ではなくて鎖骨から動いているのです。今、皆さんが脇の下を抑えながら腕を動かしている時と、鎖骨の動きを感じながら腕を動かしている時、その回し方がずいぶん違いました。私たちは体を意識したところから動かすという傾向があります。ところが術後の患者さんは、鎖骨周りが硬くなってしまいがちです。腕のリハビリにはこの鎖骨周りを緩めることが大切です。

では、今度は背面で腕はどこからついているでしょうか。肩甲骨でしょうか。
答えは、腰です。試しに腰に手を当てて、腕を動かしてみましょう。広背筋、腰方形筋から腕は生えています。ですので、腰が硬くなると腕の動きが悪くなります。腕のリハビリは、腰を伸ばすことから始まります。ヨガには腰を伸ばせるポーズが沢山あります。

【リンパ浮腫について】

ただし、犬のポーズや四つん這いについては注意が必要です。腕に体重がかかりすぎないように、椅子を使って行います。

【不安、イライラ】

私たちは不安になったりイライラしたりすると、脇の下が縮むと言われています。肋骨と骨盤の距離が狭くなると何よりお肉が乗ります。だけどそれだけでなく、肝臓や腎臓が窮屈です。日頃から、不安になったら椅子の背もたれなどに手をかけ、脇を伸ばすようアドバイスしていただけましたらと思います。

【社会復帰について】

社会復帰を望む患者さんたちにとって致命的なのはおへその奥に力が入らないことです。皆様、猫背になってみましょう。その状態でおへその奥を意識しようとしても力が入らないのです。一方、胸を開くと自然とおへその奥(丹田)に意識を向けることは容易になります。ですから、やる気を出すにはまず胸を開きたい、だけど乳がんの患者さんの場合、ここがかばいたい患部だというところが難しさがあります。

自分の腕の重みを使って、腕の可動域を少しずつ上げていく動きをご紹介します。体の前で腕を平行に揃え、息を吸いながら開いていきます。吐きながら閉じていきます。ここで大切なのは、腕の肘と肘をピタッとつける必要はないということです。今日、自分が腕を閉じられる場所で十分であり、開けるところまでで十分だということです。今日の自分に気持ちよくできるところで運動することが大切です。

それから、長い間治療生活を行っているとどうしても足の内側の筋肉が衰えていきます。脚の内側の筋肉を取り戻していくにはスクワットがオススメです。私の父の例で恐縮ですが、がんになってからスクワットだけを続けたところ、骨盤がたち、かかとから着地できるようになりました。外出を億劫がっていましたが、行動範囲が広がりました。がんを患っても、QOLを維持するためには足腰の筋肉は大切だと思います。

【全身の疲労感について】

足の疲れ、静脈やリンパが心臓に戻らないと疲れが取れません。
椅子に足を上げるポーズで万歳をすることで、逆立ちができない方でも全身の巡りをよくすることができます。お尻の下に枕をいれることで、足から水が流れるように、鎖骨のリンパに向かって流れる傾斜ができます。

お腹にサンドバックや枕をおいて深い腹式呼吸を行うことも心の疲れを取るためには有効です。

今日は術後の心と体のリハビリにヨガの可能性をご紹介させていただきました。
私自身この分野の可能性は、実際に乳がんを体験された方々がヨガを学び、自分と同じような体験をされた患者さんにヨガによって救われた、あるいは心が楽になったという体験を共有していただけるよう活動を始めていることだと思っています。今皆さまが会議の合間に体を動かされた、それぐらい簡単な少しの動きと呼吸で随分とリフレッシュし、気持ちを落ち着けることが可能です。ぜひ、実感されたことを患者さんにもアドバイスいただけましたら嬉しく思いますし、もし患者会などでのイベントを企画いただけるようでございましたら、ご連絡をいただけるようですと幸いです。

ご静聴ありがとうございました。

(注)本記事はBCYの前身であるルナワークスの乳がんヨガHP当時のものとなります。
2015年09月7日 | 講演情報など
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